シニアーゼ〜まるくるみらくる

60代は余生じゃない。荷物を降ろした新しい人生の始まりなのだ。

シニア一人旅🌰小布施の竹風堂さんではっふはふの栗を食べる

でっかくておいしい栗🌰食べたい。

そんな単純な理由で長野県小布施へ。

長野に到着すると急ぎ足でホテルに荷物を預け、長野電鉄で小布施を目指しました。

 

しょっぱなからつまづいた

長野電鉄、略して長電。

どうやらJRグループではない模様。

念のために、乗車券はパスモでいいですかー?と改札脇の事務所から顔を出している駅員さんに聞くと、パスモとか使えないよ。券売機で現金だけ。と昔の国鉄時代の職員さんを彷彿とさせる口調で言うではないですか。

改札口を見ると、本当だ!改札にパスモとかスイカをパチッとタッチするあれがありません。

券売機へ急ぎ、時刻表と運賃表を照らし合わせたりして指さし確認しながら切符を購入。あとは、乗るだけ!だったのに、

ふと改札口の電光掲示板を見て、ハッとしました。

ガーーーーーン・・・

良く見たらその切符。

間違ってましたー。出た、おっちょこちょい。

しかも、券売機の片隅には、

ーお客様の都合による払い戻しは手数料170円いただきますー

冷たく光る文言が後付けで目立つように貼られています。

あのね気軽に払い戻しなんかしませんからね、そういった断固とした意思のあるあと貼りされた文言に、これまでにどんだけ多くの人々がお気軽に払い戻しを要求し、数多くの手間や面倒を駅員の方々にかけ続けて来たのかが想像できました。

ああ、それなのに。

すまない・・

栗の大海原への航海が、一転してバカバカバカと自分を呪う後悔に変わりました。

しかし、この難所にどう対処するか考えなくてはなりません。考えろ!考えるんだ!この切符を無かったことにして新たに買い直すのか、恥と手数料覚悟で払い戻しを要求してみるのか、アニメ映画「クルードさんちのはじめての冒険」に出てくるグルーグのように顔を変形させながら絞りだし、結論を出しました。

ー 決してお気軽にではなく、しんみりとご相談してみよう ー

ショボショボとできるだけ影をひそめ、嫌みのひとつも頂戴しようじゃないかとそういう心づもりで改札脇の駅員さんに事の次第を説明すると、ああ間違ってますね、買い直してください。そう言ってあっさり現金を戻してくれたのです。

なんと!

ありがとう駅員さん。

昔の時代の国鉄職員っぽいとか言ってごめんなさい。あなた様は神々しい親切な私鉄の駅員さんです。(もしかしたら最初の人とは別人だったかも)

 

それにしても、タッチするだけのスイかとかパスモとか、普段どれだけ楽ちんにスイスイ改札を抜けているのかを再認識。

同時に、楽ちんで便利な環境にどんどん慣れてきていることに脳みそへの若干の危機感を抱きました。

 

さあ!気分も晴れ晴れ。

気がつくと、改札前の広場に地元産の果物やお土産がたくさん並んでいます。

新鮮でおいしそう~。

どうやら、それらのお会計も改札脇の窓口の駅員さんが担っているようでした。

長野電鉄なんかいいな。

 

いよいよ乗車

改札で切符に丸い印をシュタっと押してもらいホームへ。

あいにく特急には乗れませんでしたが、乗車する車両の反対側にピカピカに磨かれた赤いラインの電車が待機していました。

そのお姿は、ちょうど鉄腕アトムとか鉄人28号とか、あの時代の凛々しいヒーローがセルロイドの人形になってそこにいるような、そんな錯覚を覚えるもので、じんわりと密かに感動いたしました。

乗ってみたかったな~。


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長野から小布施まで30分程度。

電車に揺られながら、そこに住む人々の家屋や建物、りんご畑や栗林の景色を楽しんでいるとあっという間に到着。

 

ついに小布施駅のホームに降り立つ

ふわ~い!周りの空気が広い。

俄然テンションが上がります。しばらくホームでこの山々に浸りました。

ホームから北信五岳を望む

出口へ向かうと改札のすぐ脇に、りんごやぶどうや特産物を事務机にさらっと並べて売っています。

⇧ 行きは、たくさんのリンゴやぶどうが並んでいました。
左端に見える改札で駅員さんがお会計したり、もうそれで終わりとか教えてくれます。

帰りに写したので残っていたのは、ひと箱に集められた大粒のりんごたちだけでした

いざ小布施の町へ。しかし…
改札を抜けると脇目もふらずに観光案内所へ。

小布施町の地図をもらうためです。これですよ。これこれ。

スマホの地図じゃ、全体を見ると小さすぎ、大きくするどこだかわからない。

やっぱガスっと広げて全体を見渡せる紙の地図じゃないとね。うんうん。

鼻を膨らませながらジャジャーーンと開いてみたら、

・・・

見えん。

文字が見えないです。

ここにもすでに老眼の波が押し寄せていたのです。

ああ我が「老い」よ。お~い… (ダジャレにもほどがある)

しかし、親切な案内所の女性のおかげで、レンタサイクルを借りなくても、とりあえず歩きで充分なことがわかりました。そして目的の、栗がゴロンゴロン入ってるおこわを食べる店も決めました。

さあ!小布施の町に飛び出そう!相棒は老眼鏡だ!

 

小布施町は、長野県で最も面積の小さい自治体だそう。

町じゅうで「小布施作り」に取り組んでいると感じました。

⇧ 町の交番も瓦屋根。太陽ソーラーも付けてあります。

⇧ しんきんさんも瓦屋根

⇧ ちょっとした小道
⇧ ちょうど町をあげてオープンガーデンを開催中。すてきなお庭も堪能しました。

あれこれ楽しみながら歩いていたら、おや!

テレビで見たものがふいに目の前に現れました。

焼き栗屋さんです。

栗を煎る香ばしい匂いがします。

 ⬇︎ 

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自動販売機に見えて、実は違うっていうお店。

丸太のボタンを押すと、鈴が鳴って中の人に知らせ、中の人がせっせと焼きたての栗を詰めて、ネコの顔の横にある扉をパカっと開いて出してくれる、という仕組みです。

ぜひに体験したくなりました。

私の前にふた組並んでいましたが、店の脇でぐるぐる取っ手を回しながら栗を焙煎しているお兄さん?が、「そこでラストね~」と声をかけています。

目の前でアウトか~。でも一応、お兄さんに聞いてみます。

終わりですか?

もしかして私まで行けそう?

う~ん、どうかな~。と首をひねっています。

とりあえず並んで待ってみると、買えました!

ぎりセーフ、私がラストでした。

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店先で、ひとつだけアツアツを頬張り、残りはホテルでゆっくりいただくことにして、先を急ぎます。

帰りに前を通ると、お店は閉まってましたが、こんなかわいい干し柿のすだれが見れましたよ。 ⇩
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あっつあつのおこわが待っていてくれた

街並みを楽しみながら、ゆっくりと歩く。

見えてきました。お目当てのお店が。

栗がゴロンゴロン入ったおこわが食べられるお店、ありますか?

案内所で聞き込みをしてきましたよ。

それぞれのお店のおこわの特徴を教えていただき、栗を一緒に炊き込んでいるタイプのこのお店に決めていたのです。

期待に胸を膨らませ、「ひとりです」と人差し指を立てながら店内に入ると、にこやかに迎え入れながら、席に案内してくれました。

が!

その席は、案内されながら店内を一瞬で把握したワタクシが、あの席だと嫌だな~とピンポイントでアウトにした席でした。

このまま我慢しておとなしく座るか、どうするか、席に近づく数歩の間にすばやく決断しなければなりません。人生は常に小さな選択と決断の連続なのであります。

お昼の二時半を回った店内は、入ってすぐというより、すでに食べ終わってそろそろご退場になりそうな方々がまばらにいらっしゃる感じ。

はっきり言って、すいていました。

案内された片隅の日陰っぽい席は4人掛け。

ならばと、すいません、あっちの席でもいいですか?と4人掛けの別の席を指して声をかけてみましたら、意外にも、

いいですよ、どこでもいいですよ。

とおっしゃるではないですか。

それを聞いて、ワタクシが調子に乗らないわけはありません。

あ、じゃあ、こっちでもいいですか?そう言って、気に入った席をゲットしたことはいうまでもありません。

 

そして、登場したのが、ほっくほく、あっつあつのこちら。

山里定食です ⇩

柳ごおりに盛られた栗おこわはもちろん、しっかりと出汁のきいた味噌汁も白い湯気を立ててあっつあつ。

はっふはふ。あっちっちの栗おこわを頬張ると、しっかりした粒感の噛み応えのあるもち米の皆さんと一緒に、甘い栗がほろほろとほどけて溶けて行きます。

たまりません~。

 

添えられている副菜の皆様も優しい味。

味噌汁の陰にある右奥の小鉢は豆の味噌炊きかな?と思っていたら、千曲川の河川敷で栽培される長芋の子ども「むかご」のクルミ胡麻和えだそうです。

むかごのくるみ和え(左) 箸袋を開いてみたらすてきな案内文がありました(右)


おいしそうでしょ ⇩ これでなんと1,320円

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栗を剥く。渋皮まで剥く。その作業の大変さを知っています。

この季節を狙ってやって来るたくさんの人々をもてなすために、大量の栗をむくのは相当な仕事量。なのにケチりもせずにごろごろと出してくれる。

いったいどうやっているのだろう? そういう専用の機械があるのだろうか?はたまた、この町には栗むき職人といったプロフェッショナルが大勢いるのだろうか?

そんなことを思いつつ、食べ終えてお茶をすする。

ほぅっと目を上げると、窓の向こうに瓦屋根の波が。

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お腹も心も大満足で店の外に出ると、大きな栗の木。さすがでした。

 ⇩
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ここまで来れば、もう目的は達したと同じ。

だーっと行きますよ。

⇧ 北斎美術館で北斎の直筆画(撮影可)

 

⇧ 「髙井鴻山」たぶんこの人がいたから北斎はここへ来た。髙井鴻山記念館

そろそろ夕日が落ちます。

再び、長野電鉄で長野へ戻ります。

ホームから望む夕景の北信五山。

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小布施の町と、町の皆さん、ありがとう。

心も体も透き通りました。

また来たいな。

長電に乗って。