シニアーゼ〜まるくるみらくる

60代は余生じゃない。荷物を降ろした新しい人生の始まりなのだ。

定年を越えたら仕事はツール

60歳からをどう生きるか⑤

定年してからやったことのひとつに就活があります。

ハローワークに通うことになるのですから、これは外せない案件です。

 

職を探してはいましたが、自分の中に条件を設けていました。

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● 一日中拘束されず、自由な時間を持てる 体力が昔と違う。家事もある。自分の中にある楽しみを掘り出す時間が絶対に必要。

● 家から近い 通勤にかける時間と体力がもったいない。健康的な運動量を稼げれば良い。

● 地元の人々と繋がれる 遠くの親戚より近くの知人。狭いようだが実は広がる。

● なるべく長く働ける 趣味と仕事はやっぱり違う。居場所がありなおかつ報酬があることが生きる自信になる。

 

思い返すと、私が探していた仕事の目的は、金銭を稼ぐというより、これからの人生を豊かにするためのツールだったのです。

もちろん、生活のために金銭を稼ぐことは重要です、しかし、生活にリズムを付け、どう生きていくのかを模索する時間も持て、一人で悶々とするのではなく話し合える仲間を作る、そういう、老いていくことを楽しむためのツールとしての役割を求めていたのです。

 

ハローワークの手前、月曜から金曜までサラリーマンのような働き方の職にもとりあえず応募はしましたが、いつも「お祈りメール」(落選)が来ますようにと心の中で祈っていました。しかし現実は、祈るまでもなく、あっさり落選しますので何の心配もいりませんでした(笑) そういうところは、よっぽどの経験やスキルがない限り60越えを雇う気はありません。こちらも同じで今さら人生の大半を消費する仕事に費やす気はありません。

もちろん、良いなと思うところもありましたが、ハローワークの担当者さんが応募の確認をとると年齢を伝えた時点で終了。つい先日まで50代だったのに、数字がひとつめくれるだけでもう「働ける人」という対象から外れてしまうのが現実でした。

 

だからといってめげることはありません。

時代は変わってきているのですから。

時代の変化に応じて、自分の仕事も変化させれば良い。

人生の移り変わりに応じて、その時々に必要な仕事に変えれば良い。

その先に何があるかなんて誰にもわからない。最も大切なことは、自分がワクワクするかどうかということ。

ハローワークとは別に自分で職探しもしました。やってみたいと思える仕事には「面接だけでもお願いします」と熱意を込めて書きました。ちゃんと応えてくれるところも、採用をいただいたところもありました。しかし、今一つ踏み込む気になれなかったのです。

 

現在の仕事は、募集欄を見つけた時にその掲載場所がピカ〜ッと光り輝いて見えました。

前述した自分のための必要条件に全て当てはまっていましたし、採用された時のことを思い浮かべるだけでワクワクしました。このワクワクって、何かを決める時にすごく重要だと思います。

「これだ!」と思って、速攻で応募しました。

履歴書にも「これだ!と思った」旨を書きましたら、さっそく面接の時になぜそう思ったのか訊かれましたけど(笑)。

採用通知をいただいた時、一時的にワクワクが止まらなくなったのを覚えています。

入ってみると、給料を含め全般的にとっても地味で地道な職でした。

やることは思ったより多岐に渡っていたし、学ぶことが大好きなので途中でシステムが変わったりして新システムやったぜ!って喜んだりしましたが外から見ると地味でした。厳格に管理されていた前職との落差に拍子抜けもしました。

しかし、なぜか居心地がいいのです。

あともう少ししたら、居心地の良い理由がわかるかもしれませんが、今はまだわかっていません、、、って何かの研究か?

驚くかもしれませんが、ここでExcelを使えるようにもなりました。

今まで何年も仕事をしてきたのに、ExcelはおろかWordすら満足に使うことはなかったのです。

以前の仕事では、すでに出来上がっているシステムを活用して入力したり操作したりするだけで、活用するための何かを一から作ることは皆無でしたから。当時は、ガッチガチにヨロイって(鎧って)、ひとつのミスも起こさないよう細心の注意を払ってやり切ることが重要事項。それはそれでゲーム感覚で面白がる気持ちでやっていましたが、そこまでです。それで終わり。それ以上の学びは無し。自分を守るためにプロテクトタイプの鎧は常に装備していましたが、一歩外の世界へ踏み出した時の自分の武器を手に入れることはできなかったのです。

 

誰でもが当たり前のように使いこなせるExcelやWordを、ここで使えるようになったことは思いもかけない副産物でした。

Excelは自宅でも家計の数値化やわずかな投資の管理に楽しんで使っているし、Wordは新たに始めたマンションの役員の仕事になくてはならないものになっています。

しかし、そんな副産物を手に入れることができる環境であったことが何よりも大きな収穫でした。

今後の人生のツールとして始めた仕事が、さらに小さなツールを産んでいる、今はそんな感覚です。

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