シニアーゼ〜まるくるみらくる

60代は余生じゃない。荷物を降ろした新しい人生の始まりなのだ。

レモンのジャム

メルカリで買った栗の処理に、まる一日かかってしまった。

メルカリで栗など、青果物を購入したのは初めてである。
もしや?と検索してみたら、たくさん出品されていた。
これは私の推測で恐らくのお話だが、メルカリで出品された栗の一部は業務用とか農協用とかでなくて、ご自身の山とか庭にて収穫されたのだと思う。
だから、燻蒸処理もされていないし、大きさもバラバラだったりする。

そういう栗が欲しかった。

届いた栗もそういう雰囲気のものであった。
箱の底に細かい埃のような粉がたくさん落ちていて、これはいるな!と思った。
虫の皆さんが栗の実をカリカリと齧った時に落ちた粉だ。

すぐに、ごめんねの儀式を執り行った。
冷蔵庫で一晩どっぷりと水攻めにするという虫さんの立場からすると、本当に申し訳ない儀式である。
ほんとにごめん!

そうして翌日、一日がかりの作業が始まる。
鬼皮と呼ばれる堅い皮はすいすい剥けたが、渋皮の実に密着している皮がしんどい。
慣れていないから余計に時間がかかる。
手も、指も、目も、肩も疲れる。
剥き栗になった既製品の価格のその半分は皮を剥く労働力への対価なんじゃないかと思う。
高いと思わずに買い求めなければいけないな、と思った。


そういうわけで、一日中キッチンにいることになったので、レモンのジャムも作ることにした。
宮崎県産のまるまる太ったレモン。
ひとめ見て、目がハートになりました。
かわいい~。
今、宮崎のレモンは最盛期なのであろうか。
4つも入っていたので、3つをジャムにした。


皮に包丁を入れると、途端にレモンの清冽な香りがキッチン中に広がった。
癒される~。


レモンの皮から飛沫のように香りの粒々が吹き飛んでいた。
栗に翻弄されていたツライ時間もスンッと消えた。
しばらくレモンのアロマチックな匂いの中でうっとりした。






栗の作業はつらかったが、自分好みのレモンのジャムができて、ご機嫌になった。


嬉しいことに、前々職の友人に久しぶりに会うことになっている。
全員がおしゃべり好きなので、レモンジャムの工程についての話が聞き入られる隙はまず無いと思うが、手土産に持っていくことにした。

思い入れの押し付けにならないように、少しだけにしよう。