そもそも、門司ってどこ?
海をまたいで九州と山口を繋ぐ関門海峡はご存知であろうか。
山口県側がふぐ・巌流島・壇ノ浦の合戦などで有名な下関。
九州側が福岡県の門司港。
最近は、とても風情のある門司港ホテルでも有名。
その門司港のお隣が 門司。
ちょうど、この日は冷たい小雨が降っており、駅を裏側に降りるとすぐに見えてくる少し霧がかった海が何とも言えず胸に沁みた。
門司港とは反対側の隣の駅が小倉。
無法松で知られている北九州を代表する都市である。
すぐそばには、今は日本製鉄となったが、当時の基幹産業 八幡製鉄でも大変に栄えた地域もある。
小倉の奥には筑豊地方を抱えており、昔は炭鉱で栄えた。
そのせいで、人々は威勢が良く若干荒くれでもあった。
無法松の歌の中に「小倉生まれで玄海育ち 口も荒いが気も荒い」という歌詞もある。
そんな荒くれた地域の中にあって、「門司はね、ちょっと違うんよ」と言うのが、このお人形の作者 上村 誠氏である。
突っ込んで、どうちょっと違うのか聞いてみたが、「。。。」とうなづくだけで回答はなかった。
彼の中で感じる何かが違うのであろう。。。
久しぶりにこの街を訪れたが、静かで落ち着いていた。
清楚な小道たちは、ひょっこり人に出会い、道なんか尋ねたら間違いなく親切丁寧に教えてもらえそうなそんな佇まい。
少し歩けばすぐに、海が両手を広げて迎えてくれる。
この日の海は霧雨の中に優しく穏やかで、上村氏と重なるものがあった。
そんな街で、たった一人でこの人形を作り続けている。
小さな小さな工房である。
人形はどれも、なんとなく作者本人に似ていて、ほんわかと温かい。
ちょうど、お雛様の季節を前にして、トロ箱の中にたくさんの人形がぎゅう詰めでズラリと並んでいた。
これだけの数と小さな細工をひとつひとつ、手作りで制作している。
先ほどの、お雛様のお人形たちをセットするとこうなる。
一体が手のひらに乗る小さなサイズなので、こんなに小さい細工をするのに目は大丈夫なのか心配になった。(つい自分の目と照らし合わせてしまった)
よくまぁ、こんなに小さい作業ができるな~、と。
老眼はきていないのか不躾に聞くと、サッとシニアグラスを指さし大きな体を小さく揺らして笑った。
私が目を引かれたのはこれ ↓ ↓ ↓
なんとも可愛くてひょうきん。
ピエロなのかと尋ねたら、なんと、こけし。
頼まれて、色んなこけしを作ったということ。その中のひとつ。
他にも、こんなのや
こんなのも
こんなのを作って欲しいという既成外注文がほとんどだそう。
もしも、作って欲しいものがあれば相談してみていただきたい。
焼成はしない手びねりではあるが、乾燥などに時間が必要なので時間に余裕を持った方がいいと思う。
なんでも、恩師から「お前が作れ」(お前が作らなければ絶える)と言われて作り始めたということ。
素直だ。
彼のあとを継ぐ人はいないので、貴重な人形となるかもしれない。
詳しいことは以下のリンクにあります。
よろしければぜひ覗いてみてください。