益子のおみやげね、味はわからないけど。
と細長い包みをもらった。
メロンの赤ちゃんだと言う。
メロンの赤ちゃん!?なんだそれ、こわい。
家に帰って出してみると、瓶の中にカットされたキュウリのようなものが入っていた。
透明な液に浸っている。
なるほど。
まびかれた赤ちゃんの実、摘果だ。
こうやって売れば農家さんも無駄がなくて良いと思った。
捨てていたけど、何かになりはしないか?
誰かが思いついて、やってみようじゃないか、作って出してみようじゃないか、いいね、やってみよう!そういう展開で生まれた商品に違いないと勝手に想像する。
瓶の表面に蓋付きの壺と「ましこのぴくるす」の文字が金色で描かれている。
ほっそりとした瓶に、きっちりと閉められた金色の小さめのふた。
きらきらをまとった八頭身の女神を連想した。
すてきだな~。しばらく眺めて冷蔵庫の一番前に入れた。
そうしないと忘れる。普段食べなれていないから存在自体を忘れてしまう。
二、三日してすっかり冷え切ってから食べてみた。
女神の体内に浮かんでいるメロンの赤ちゃんを清潔な箸で取り出す。
メロンの赤ちゃん、いただきます。
見た通り、キュウリに似ていると思いながら噛んでいくとキュウリよりみっしりしている。実の密度が高い。噛み砕いて飲み込む寸前にメロンの香りがフンと抜けて行った。
女神だけあって上品な味わい。
後日、このおみやげの送り主に感想を伝えると、食べてみた~い!と言った。
食べてなかったんか~い。
女神の瓶には、そのあと何回もキュウリがピクルスとなって漬けられた。
冷蔵庫を開けるたびに眺めてはうっとりしている。