どうせ老いるなら〜シニアーゼまるくるみらくる

60代は余生じゃない。新しい人生の始まりなのだ。

人が変わろうとするキッカケの裏にあるもの

先日、三谷幸喜監督の「記憶にございません」を観た。

三谷ワールドにまんまとハマって大笑いした。ワロえた上に、なんか気持ちよかった。

どこがどーであったとか、あれがそれで、あの俳優さんがとか詳しくしゃべりたくて仕方ないが、ネタバレになるといけないのでここまで。

 

映画のように劇的に人が変わるのを実際に見たことはない。

なんとなく変わる。変わったような感じがする。

少しずつ変わっていったな、と後になって気が付く。

そんな感じの変化には遭遇したことがある。

 

 ところが今回のT氏の変化は、あからさまに急であった。

30年以上生活を共にして、こんなことは初めてである。

 

興味深い。

 

今まで、T氏自身が入りたい!と自身の希望を意思表示したのは、後にも先にも「全国亭主関白協会」略して「全亭協」だけである。

この会、名前とは裏腹に 「上手に妻の尻に敷かれる心と技を持つ亭主力」 を理念に掲げる団体である。

T氏は、その中の 非勝三原則 が大のお気に入りなのだ。

ちなみに、その、非勝三原則の中身はこうである。

  勝たない

  勝てない

  勝ちたくない

妻に対しての三原則である。

姿勢を正して直立し、この三つを高らかに歯切れよくうたい上げては喜んでいる。

かわいいもんである。

T氏ならすでに副会長くらいの実力があるんじゃないのと水を向けると、自分はまだ2段だ。なかなか段位を上げるのは難しい。上には上がいるなどと真剣に語っていた。

 

 

おっといけない!

また、話が逸れてしまいました。

 

 

 T氏変化のキッカケはなんなのか?という大きな課題について考察していたのでございました。

ここ一か月で、いつもと違う環境を鑑みてみると、あれしかない。

 

タイ。

9月に行ったタイ、バンコクの旅。

ーー今まで何件か書いてきました。良かったら覗いてください。ーー

 

率直に、タイに行ったから英語を始めたのかと尋ねてみたら、行く先々での交渉事を私にばかりさせて申し訳ないと思ったからだ、という内容の趣旨を歯切れ悪く答えた。

 

歯切れも悪かろう。

それなら、タイに限らず、国内でもワタクシがしている。

 

しかも、ワタクシの英語とて基礎英語から抜け出せていない。

お互いにブロークンのタイであったからこそなんとか意思の疎通ができたというもので、さらに言えば、わからなくなったら、とりあえず黙ったまま相手の出かたを見る、それでもダメなら翻訳アプリPapagoを使うという方法で乗り切った。

便利な時代になったものです。

 

そもそも、私が英語を始めたのは今から20年前。

子供たちを連れて3週間ほどオーストリア ウィーンに滞在。

その時、なんとかなるさと軽く考えていた言葉の壁に悔しい思いをしたのです。

オーストリアはドイツ語を公用語としていますが、英語を話せる人も多く、外国人と見て英語で話してくれたにも関わらず、理解できずに呆然とする自分が情けなかった、と同時に何語も理解できないアジア人として見下された感を持ったりもしました。

それで帰国後、すぐに英語の勉強を始めたというわけです。

毎日10分必ずやると決めて、どんなに疲れていてもできるように10分の英語番組に決めました。

あれから、約20年。

今でも基礎英語から抜け出せていないので「永遠の基礎英語」と呼んでいるし、もはや、心が安らぐ眠り薬みたいになっていますが (^^ゞ

昨今の語学番組は、それぞれ色んな工夫をして楽しく学べるようになっているし、お気に入りの先生もたくさんいて、バラエティー番組より楽しいくらいです。

目的なんかありません。面白いし楽しい。

 

ああ、そうでした。

T氏、T氏。

 

実は、T氏の本当のキッカケと思しき出来事を、知っています。

 

見ました。

 

それは、バンコクのフードコートでの出来事。

食べ物を買いに行く役目は私でしたが、追加したいね、となった時にT氏が行きました。 エビが包まれたワンタンがあまりにもおいしかったので、さらにメニューの写真が欲しいねとT氏が行きました。

遠くから眺めていたら、なにやら話しかけて写真の許可をもらい撮影した後、また、何かひと言いいました。

すると、お店の人が、ほんとにニッコリ笑ったんです。うんうんって。

「通じた!」

戻ってくるT氏が全身で嬉しそうだったのを、私は見逃しませんでした。

 あとで聞いたら、話しかけた言葉は、身振り手振りと合わせて、撮影するときのOK?と撮影したあとのデリシャス!だけだったらしいです。

 

成功体験、と言っていいでしょうか。

 

でも、ただの成功体験だけだったら、T氏が英語を始めることはなかったと思います。

 

T氏が、何年も「永遠の基礎英語」をやっている私を見ていたこと。

タイで交渉する私を見ていたのが、いつも遠目。だから、ぼろぼろの会話がペラペラ会話のようにカッコよく見えた。

だからだと思います。

 

T氏の場合は、成功体験でしたが、ちょっとした言葉で肩の力が抜けてキッカケとなるパターンもあれば、私のように悔しさパターンもあると思います。

 

だけど、キッカケの裏側には、必ず、そこに至るまでの大地のような下地があるように感じます。

私にも、英語をしゃべれるようになりたいという学生の頃からの下地がありました。

大地のような下地に積み重なってできた丘。

色んなかたちの丘。

丘を作るのは、本人と本人を取り巻く環境や人々であることは間違いないし、丘がいよいよ山となって噴火する時のキッカケは、何かのサインなんじゃないかと思います。

そのサインに気づくか気づかないか、気づいて行動をおこすかどうかが本人なんじゃないかな。

 

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目的なんかどーでもいい。

サインに気づいたらやり始めればいい。

 

噴火したT氏のマグマを遠くまで一緒にワッショイしたいな。

子どもか!!!