シニアーゼ〜まるくるみらくる

60代は余生じゃない。荷物を降ろした新しい人生の始まりなのだ。

終わらせたい終わらない「ちいちゃんのかげおくり」

うっかり「ちいちゃんのかげおくり」(あまんきみこ作)を聞いてしまいました。

この作品は、子ども達が小学生の頃、教科書に載っていた作品です。

多くの人に知ってもらいたい作品です。

きっと多くの人が知ってるお話しです。

が、私にはもうキツすぎます。

あかんです。

 

「ちいちゃんのかげおくり」は、戦時中のお話しです。体の弱いお父さんまで兵隊に取られてしまいます。

お父さんが出征する前に教えてくれた遊び。

かげおくり

小さいちいちゃん、お父さん、お母さん、お兄ちゃん。みんなで温かい手と手を繋ぎ笑顔で青空に影を送ります。

家族4人が仲良く手を繋いだ影が大きく空に羽ばたきます。

そして...

 

なぜかは覚えていませんが、この作品を当時、小学生だった子どもが家で朗読していました。

経緯は覚えていませんが、おうちで朗読して家族でお話ししてみてね、ということだったのだろうと思います。

何も知らずに読み上げて行く、我が子のあどけない澄んだ声。

どんどん戦況が悪くなっていく中。

ちいちゃんと、我が子の声が重なります。

私はもちろん、夫T氏も、声も出せずにすすり泣きからの号泣。

胸が締め付けられるようでした。

 

それをまた、昨日、うっかり聞いてしまったのです。

ラジオで。

 

あきまへん。

 

わが家では、「ちいちゃんのかげおくり」と「火垂るの墓」は、もう読まないし見ないことにしています。

わが家と言っても、夫T氏と私の二人です。

辛すぎて苦しくなるから。

もう終わったことにしたいから。

もう起きて欲しくないから。

 

しかし今、この現代に現実に戦争が起きています。

今もなお、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ちいちゃん、そして節子が存在している。

いつまでも終わらない。

果てしない人間の欲のために。

 

私の父は、身体が弱くて兵役から戻されました。

母は、畳で作った防空壕に逃げ込んで難を逃れました。

それで今、私が生きています。

この時代を生きて来れました。

 

もうすぐ日本に、終戦記念日がやって来ます。

平和な世界を願ってやみません。

なつつばき