シニアーゼ〜まるくるみらくる

60代は余生じゃない。荷物を降ろした新しい人生の始まりなのだ。

片道7千円の飛行機旅 四国のエンターテイナー特急しまんと号に脱帽

どこまで飛んでも片道7千円なら、行きと帰り違う空港でもいいんじゃない?

そう気がついた4匹のオバーズ。

香川県高松空港に降り、高知県高知龍馬空港から飛ぶ、つまり四国の上から入って下から抜ける計画を立てました。

 

スタートの高松を襟元に例えると、お腹を縦断してお尻から抜け出すイメージ。

我々を乗せて走る案内役は、JR四国の特急しまんと号。

高松から高知まで鉄道の旅であります。

通常なら片道4990円かかる鉄道の旅が、4人だと一人3500円。

トク割4枚回数券(指定席用)14000円を利用したからです。

しかも、駅レンタカーを24時間3000円で借りることができるというお得付き。

※ただし、発売と利用期間に制限あり。

 

特急しまんと号 そのすごさ

 

気動車

乗り鉄ならば思わずウッホーって叫びたくなる列車、だと思います。

走り出すと、なんかすごいんです。

ゴゴゴゴゴーッ! 

まるで大型ダンプです。ダンプカーが大荷物を積み込んでよっしゃ~!ンゴゴゴー!と意気込んでスタートするイメージ。

レールの上を滑り走るという感覚とはまるで違う。座っている席の真下で、でっかい心臓が唸りを上げながら自力でエネルギーを生み出している。

詳しいことはわかりませんが、気動車というらしいです。

ディーゼルエンジンなんだそうです。

自分のシートも、前席の背もたれも、ある一定の間隔でブブブブルッと小刻みに揺れるんです。来た来た来た~って感じ。

力強いお顔の特急しまんと

しかも、この列車、高松を出る時はたったの2両編成。

なのに車両番号は6号車と7号車。

どゆこと?

2両なんだから1号車と2号車でよくない?

あと5両どこ行った?

首をひねりつつ乗り込むと、乗り鉄と思われる若いお兄さんたちが車両の中を行ったり来たりして落ち着きのない様子。

するとです。

 

連結

途中の駅で(どこの駅か忘れました)松山方面から来た列車と連結します、とアナウンスが流れました。

なるほど~! そういうことか!

で、乗り鉄のお兄様方はいずこへ?・・・いたいた!

ちゃっかり最先端の連結部分へ移動して車両の先を覗き込んでいます。

がっしゃん!

1~5号車が違う方向からやって来てつながったってことですよね。

お兄様方は、この連結作業を見届けるや、とっとと列車から降りて行きました。 

 

座席に見るローカル色

そんな力強い列車、もう一つ面白いことが。

同じ車両の中で指定席と自由席が分けられていたんです。

同じ空間の中かつ同じ仕様の座席。なのに指定席と自由席。たいていの特急って自由席車両と指定席車両が別々で座席にも若干の差があります。しかし、しまんと号にそういった無駄なステータスは通用しません。指定席にペロンと指定席の文字が書かれたシートが掛けられているだけです。

恐らく、確実に座れるか、そうでないか、その違いだと思われます。

そう言えば、以前、茨城県ひたち海浜公園にコキアを見に行った時に乗った「特急ときわ号」も面白い仕様でした。

JRによって、それぞれの乗客数や運行状況で工夫しているんですね〜。

 

流れ来る名所

さらにです。

単に移動目的で何も知らずにフンフラフ~ンと乗っていたら、四国名所が目の前に現れました。

大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)です。

2億年の歳月をかけて自然が造り出した渓谷。

流れて行く車窓から、ほうほう~ツララみたいだし固まった滝みたいだし~などと感心しながら写真を撮るのも忘れて見入ってしまいました。

車内アナウンスによると、歩くと危ないのでそういう名前が付いたらしいです。

大股でも小股でも歩くと危ないということで(諸説あり)。

 

突然の大人気キャラクター

大歩危駅ホームに着くと、ナンデスカ? 真っ赤でド派手な列車が!

アンパンマンファミリーの皆さんがこっちを向いて笑っています。

な、なな、なんで? なぜこんなところにアンパンマン

どうやらアンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの出身地が高知だからということでしたが、よく調べてみると、やなせさんご自身は東京生まれ。親御さんの出身地が高知県香美市だったそうです。

高知からやって来たと思われるアンパンマン列車

アンパンマンに引き寄せられて列車の窓に張り付いたら、おや?

こ、これは、もしや!

あの有名なスリル満点の原始的吊り橋、祖谷のかずら橋がそこに!

いや、ミニチュアでしたが、この大歩危駅からバスで行けるところにあるんだと知りました。一度は渡ってみたい橋ですよね~。

祖谷のかずら橋のミニチュア…?

そしてもちろん、高知駅にはどど~ん!とこんな階段 ⇩

高知駅構内の改札前にある階段

どうやら高知県香美市に市立の「やなせたかし記念館」があるそうです。

HPを覗いてみたら、やなせさんがアンパンマンを生み出したのは50歳の時だったのですね。

シニアの扉を叩いても、まだまだ人生をあきらめてはなりませんね。

 

横浜駅のすぐ近くにあるアンパンマンミュージアムは、完全に子供向け遊び中心のテーマパークですが、香美市の記念館は、やなせたかしさん自身にもスポットライトが当たっていて興味深いです。

1919年に生まれた彼は、戦争にも行っているし、時代の流れや変化に応じてたくさんの仕事をしています。

 

そして、残した言葉が、

「人間が一番うれしいのは人を喜ばせること」

ただの生き物でない、知性を持った人間だからこそ考えつく言葉。

自らの顔をちぎって人に分け与えるのって、つまりは誰かを助け喜ばせること。自分にできる何かを分けてあげること。

でもそれって、自分が幸せでないと難しい。

 

「72時間」という番組のエンディングに流れる松崎ナオさんの歌「川べりの家」の歌詞を思い出しました。

「幸せを守るのではなく わけて あげる」

そのフレーズが流れ来るたびになぜか毎回泣きそうになるんです。

守ってばかりいるのはきっと、幸せの本質を取り違えているから。

やなせたかし記念館」行ってみたかったなー。

 

たった2時間20分程度の列車の旅だとういうのに、この充実ぶりには驚きました。

JR四国 特急しまんと号さん!

あなたはもう走るだけで人を楽しませ、喜ばせてくれる立派なエンターテイナーです。

 

そしてそして、一緒に旅に出てくれる気のいい友たちに感謝。

いつも幸せをわけてくれて、ありがとう!